对安倍晋三政权关于新冠病毒对策的思考

2020/9/6    石川   日本青年媒体人

      围绕2020年应对新型冠状病毒,以安倍晋三首相为首的日本政府所采取的应对措施,总体来说是极为混乱的,无论如何也得不到国民的满意。在面对未曾有过的新冠病毒大流行,政府政策发生了翻来覆去的变化,本来应该有效获得支持的东西也隐藏在了失策的背后。
      2020年の新型コロナウイルスへの対応をめぐる、安倍晋三首相をトップとする日本政府の対応は、全体として混迷を極めたものであり、とうてい国民の満足を得るものではなかった。未曽有の感染症大流行を前に政策は二転三転し、本来有効で支持を得るべき物も、失策の陰に隠れてしまうというありさまであった。   
         
      象征安倍一连串的失策和混乱的是“安倍口罩”的发放事业和与星野源先生合作的视频(把在家里和爱犬放松的身姿拍下来的视频上传到推特)。笔者至今没有对这两个事业抱有好感。“安倍口罩”,这个含有戏谑意味的称呼,一定会和2020年新型冠状病毒流行的记忆一起长久地在存在日本国民之间。关于安倍政权关于新冠病毒的政策,我有以下几点想法。
      安倍氏の一連の失策と混迷を象徴するのがいわゆる「アベノマスク」配布事業と、星野源氏とコラボした、家で愛犬とくつろぐ姿を写した動画のツイッターへのアップである。筆者はいまだこの2つの事業について好意的にとらえる言説にはあったことはない。「アベノマスク」というなかば侮蔑を含んだこの呼び名は、2020年の新型コロナウイルス流行の記憶とともに長く日本国民の間で覚えられるに違いない。これらに象徴される安倍政権の政策について、以下考察する。
 

最初的考验“钻石公主号”


最初の試練「ダイヤモンドプリンセス号」
 
      一月末日本政府和日本国民对中国感染扩大的情况视若观火,而2月初,在邮轮“钻石公主号”上发生了集体感染。
      感染が拡大する中国の状況を対岸の火事として見ていた日本政府および日本国民が本格的に感染の流行と相対するようになったのは、2月始め、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」で集団感染が発生したことだ。

      约3700名乘客滞留在港口,日媒体连日报道了感染人数和死亡人数的增加。甚至发生了检测人员登船感染事件。民众对日本政府的传染病对策开始出现了疑问的声音。2月20日,厚生劳动副大臣桥本岳在推特上发布了船内隔离情况。面对厚生劳动省高层“自豪“地发布即便是外行人看来也不充分的隔离对策,国民对此感到很失望。下船后的应对也不充分,发生了下船后人员感染的情况。钻石公主号上有很多外国乘客,外国媒体也对此进行了批判报道。这是至今为止极为混乱的传染病对策的最糟糕的出发点。
      約3700人の乗客が港で足止めされ、連日、感染者数、死者数の増加が報道された。検査のために乗船した職員までも感染するというありさまで、それまで感染をおさえていた日本政府の感染症対策に疑問の声がではじめるようになった。2月20には橋本岳・厚生労働副大臣が、船内の隔離の状況をツイッターにアップ。素人目に見ても不十分な隔離対策を、厚労省のトップが自慢げに投稿する姿勢に国民は落胆した。下船後の対応も十分でなく、下船後に感染が発覚したケースもあった。ダイアモンドプリンセス号には外国人の乗客も多く、その対応は外国名ディアも批判的に報じた。今に至るまで混迷を極める感染症対策の最悪の出発であった。
 

PCR争论


PCR論争
 
      三月日本国内连日感染者激增,出现了所谓的“PCR争论”。韩国采取了“停车检查”等独特的抑制措施,虽然一个月内发生了宗教集合大规模集体感染,但很快就被抑制了。与此相比,日本限定了pcr检查数量,受到了很多批评,有人质疑这是为了奥运会减少了检查数量。
      三月には日本国内で連日感染者が急増。そこで現れたのがいわゆる「PCR論争」である。韓国は「ドライブスルー検査」など独特な抑止対策を行い、一月中に宗教施設での大規模集団感染があったものの、まもなく押さえ込んだ。ヨーロッパなどの諸外国もそれにならった。それに比べて日本はpcr検査数を限定。オリンピックのために検査数を減らしたのではとの疑問も出るなど、批判が多く寄せられた。
 
      关于集中检查的理由,政府说明道,这样的“集群对策”选择是专家会议决定的,以夜总会、LIVE HOUSE等导致集体感染的场所为中心,沿着感染途径前进。因此,在聚集发生地以外的感染者以及希望检查者接受pcr检查的难度变得很高。也有因为发烧、咳嗽等症状而多次要求检查但被拒绝,结果在家里死亡,在死后检查中被感染的案例。“因为没有检查,感染人数很少。实际上应该还有更多”。在5月末共同通信社实施的舆论调查中,77.4%的人对于pcr的检查状态回答“不充分”,即使近期在某种程度上抑制了感染,国民也持批判态度。
      検査を絞った理由について以下の通り政府は説明する。政府が設置した専門家会議の選択が「クラスター対策」というもので、ナイトクラブやライブハウスなど、集団感染を招いた場所を中心にその感染ルートをたどるというものであった。そのためクラスター発生地以外での感染者(検査希望者)のpcr検査を受けるハードルは高いものとなった。発熱や咳などの症状が出て何度も検査希望をしたが断られ、結局自宅で死亡、死後検査で感染していたことが分かったケースもあった。「検査をしていないから感染者数が少ない。実際はもっといるはずだ」といった批判がなされていた。五月末に共同通信社が実施した世論調査では、77.4%がpcrの検査態勢について、「不十分」と答えており、ある程度感染が抑えられた時点においても国民は批判的に見ている。
 
      关于这件事,我的想法是日本实际感染人数肯定要多于报道人数,一是因为紧急事态宣言以后感染人数才开始减少,二是因为在6月实施检查中,抗体持有率在东京为0.1%左右(6月16日报道),实际感染人数至少超过报道感染人数。
      この件については、筆者としては現在結論をおきたい。その理由は①非常事態宣言以降感染者数は減少したこと②6月実施検査で、抗体保有率は東京で0.1%程度(6月16日報道)、超過死者数も少数だったことである。
 

世所罕见的缓慢的紧急事态宣言


世界でもまれに見るゆるい緊急事態宣言
 
     4月7日,安倍首相根据新型冠状病毒特别措施法,以东京、大阪等地为对象发布紧急事态宣言。之后范围扩大到了全国。紧急事态宣言的内容包括饭店等的停业请求、民众外出自我克制请求等。“自我克制”是一项几乎没有惩罚规则的要求,同时政府对于感染者、疑似感染者的隔离也不严格。尽管考虑到人权问题,但这真是世界上罕见的宽松对策。
      4月7日、安倍首相は新型コロナウイウルス特措法に基づき東京や大阪などを対象に緊急事態宣言を発布。その後対象は全国に拡大された。緊急事態宣言の中身は、飲食店舗などの休業要請や、外出自粛要請など、ほとんどが罰則のない「お願い」ベースであった。感染者、感染が疑われる者の隔離も厳格ではない。人権に配慮し、韓国のように監視カメラやクレジットカードを利用して感染者の行動を追跡するようなことも行っていない。まことに世界でもまれな緩い対策だった。
 
      尽管如此,外出的人数减少了,感染者也锐减了。5月末,全国宣布结束紧急事态后,有人发出了警戒第二波疫情的声音。实际上在东京这几天持续有两位数的新感染者报告,但是还没有到感染二次爆发的程度。    
      それでも外出する人の数は減少し、感染者も激減した。5月末に緊急事態宣言は全国で説かれた。第二波を警戒する声もあり、実際に東京ではここ数日二桁の新規感染者報告が続いているが、感染爆発までにはいたっていない。
 

感染者减少的理由是谜


感染者減少の理由は謎
 
      虽说现在仍有新感染者,但与急剧增加的时期相比,毫无疑问是减少的。与欧美相比,结果也是显而易见的。为什么这么宽松的政策、那么少的检查数量能抑制日本的感染呢?
      いまなお新規感染者はいるとは言え、激増の時期に比べ落ち着いていることには間違いない。欧米と比べても、結果は歴然である。なぜこんなにゆるい政策、少ない検査数で日本は感染を抑えられたのか?
 
      总的来说是日本民众减少了外出、握手、拥抱,戴上了口罩,以及注意了会残留病毒的事物。在笔者看来,更多的是偶然和幸运吧。至少持多亏了日本政府的对策这样的看法在国民之间很少。
     理由について、普段からマスクを着用し、握手やハグをしない、家では靴をぬぐといった生活習慣に着目する物、遺伝的な物に着目する物、ウイルスの種類に着目する物などさまざまな論考がなされているが結論は出ていない。筆者がみるところ、さまざまな幸運にめぐまれた、要は「偶然」のたまものであろう。すくなくとも日本政府の対策のおかげであるという見方は、国民の間では少ない。

迂回曲折的现金发放政策


紆余曲折の給付金政策
 
      民众关于现金发放制度也极其迷茫。当初出现了向收入减少的家庭支付30万日元的方案。该方案曾建议排除“风俗业工作者”,但如明确不给予“风俗业工作者”,会被认为是歧视性的,因此进行了更改。结果最后又更改成了向全体国民供给10万日元的方针。
      現金給付についても迷走を極めた。当初は所得減世帯に30万円を給付するという案が浮上。「風俗業従事者」には給付しない方針が明らかになると、差別的だとsnsで炎上。その後撤回した。しかし結局その後国民全員に10万円を給付する方針にシフトした。
 
      在公布现金发放之前,执政党内部讨论了包括支付“和牛券”“鱼券”等方案。比起真正解决国民收入的下降,国民对于政治家优先考虑是发放和牛券还是鱼券等符合自身利益的行为感到非常失望。
      現金給付が公になる前には、与党内部で「和牛券」「お魚券」などを支給する案が検討されていた。二転三転する政策そして、国民の生活よりも政治家の利権を優先する姿勢、和牛券、お魚券などの需要があるとの勘違いに国民は大いに失望した。ただし、迷走はしたものの最終的に10万円一律給付に踏み切った安倍の姿勢は評価されるべきである。   
       

与国民相背离的官邸主导的两失策


国民感覚と乖離した官邸主導の2失策
 
      回到开头。4月1日,政府宣布“每户都要发放两张口罩”。据报道,发放完成是在6月15日,从决定开始发到到结束发放一共2个半月。在此期间,市场上已经有了大量的一次性口罩,并伴随着安倍口罩不断出现残次品。在生活形态多样化的现代,对以家庭为单位分配两个口罩这样落后于时代的决定召来了持续不断的批评。联想到安倍同星野源合作在家逗狗喝茶的“贵族视频”,这些思想和举措如实地显示了政治家落后于时代、背离国民实际生活的姿态。
      冒頭に戻る。「各世帯に2枚ずつマスクを配布する」と政府が宣言したのは4月1日のこと。報道によると、配布が完了したのは6月15日で、決定から2カ月半を要したことになる。その間すでに市場に使い捨てマスクはあふれるようになっており、さらにアベノマスク本体にも不良品が続出している。そもそも、生活様態が多様化した現代に、世帯を単位にして2つ配布するという時代遅れの発送に対する批判も終始なされていた。そうした時代遅れ、国民の実生活と乖離した姿勢を如実に示したのが例の貴族動画であった。
 
      回顾新冠疫情的爆发,日本整体来说是顺利度过的,没有发生令人担忧的医疗崩溃事件。虽然在东亚圈感染人数比较多,但在全世界看来还是比较少的。但是这件事与安倍政权的举措没有太多必然联系。不如说安倍留下的是安倍口罩和贵族视频所象征的混乱,支持率的下降是不可避免的。
      コロナ禍が一段落ついて振り返ると、日本は全体としてはうまく乗り切った方であろう。懸念されていた医療崩壊もなく、感染者数も東アジア圏では比較的多数とはいえ、全世界でみたら少ない方である。しかしそのことは安倍政権の指示にはつながらない。むしろ安倍が残したのはアベノマスクと貴族動画に象徴される混迷であり、支持の低下は免れない。
 

对安倍政权的影响


安倍政権への影響
 
      安倍首相的新冠病毒对策引起了国民的失望,导致了政权支持率的下降。自安倍政权就任以来,号称日本历史上最长的政权陷入了诸多疑虑的漩涡之中。从森友学园开始,加计学园、赏樱会等,每次都艰难度过了。但是在新冠病毒对策上又出现了上述问题。在明年9月的自民党总裁选举前,再次遭受了巨大的逆风袭击。支持长期政权的“安倍一强”正在动摇。
      安倍首相のコロナ対策は国民の失望をかい、政権支持率の低下を招いた。日本の歴史上最長を誇る安倍政権は就任以来、多くの疑惑の渦中に立たされた。森友学園問題に始まり、加計学園問題、桜を見る会など、その都度乗り越えてきた。しかしコロナでの失策に加え、新たな問題が発生し、来年九月の自民党総裁選を前に再び大きな逆風にさらされることに。長期政権を支えた「安倍一強」が揺らいでいる。 
                   
      而正当安倍想要跨越病毒之祸的时候,黑川弘务延迟退休问题和前法务相、现众议院议员河井克行和参议院议员的妻子案里因违反公选法被检察机关逮捕问题又甚嚣尘上。在河井案里首次当选的选举中,怀疑其为了委托汇总选票,向当地议员和后援会干部等约100人发放了共计2500多万日元的现金。曾担任法相的国会议员因为违反选举法被逮捕这真是前所未闻的事件。河井克行被认为是与安倍亲近的人物,在安倍政权下曾担任过党总裁外交特别辅佐等职务。由于法务大臣是安倍任命的,因此批评的矛头也直指安倍。
      コロナ禍を乗り越えようとしたさなか、再び別の問題が浮上した。黒川弘務東京高検検事長の定年延長と検察庁法改選案問題である。安倍に近しいとされる黒川氏を検察トップの検事総長に据えようとしているのでは、との疑惑だ。自らへの捜査を封じるかのような手法はあまりに独裁的だとの声が、SNSで著名人を巻き込みわき起こった。河井克行は安倍に近い人物とされ、安倍政権下で党総裁外交特別補佐などを歴任してきた。法相の職も、安倍の肝いりとして任命された。批判の矛先は安倍にも向かうことになる。
 
      朝日新闻6月16日报道了执政党元老认为相继发生的失策是“政权末期”的表现。自从新冠病毒灾难发生以来,支持安倍政权的自民党内部也不断有批判的声音。在5月末的舆论调查中,内阁支持率为39.4%,时隔2年再次低于40%。6月下旬的调查中,支持率36%,不支持率49%。其中不支持率是安倍政权成立以来最高的,可以说现在是安倍政权成立以来最大的困难。 
      朝日新聞は6月16日、相次ぐ失態を「政権末期」とみる与党ベテランの声を報じている。コロナ禍以降、安倍の政権の屋台骨を支えるべき政党内部からも批判の声が相次いでいる。5月末の世論調査で内閣支持率は39.4%で2年ぶりに40%を下回った。6月下旬の調査ではさらに、支持率36%、不支持率49%。不支持率は安倍政権発足以来最悪という。現在、安倍政権の発足以来最大の困難といってよい。
 

“后安倍时代”人选的表现


ポスト安倍は?
 
      宣布紧急事态结束后,自民党内围绕“后安倍时代”人选的相关活动正在加剧。到目前为止,安倍还没有明确表示希望谁当选下一任首相。但是因为岸田文雄政调会长接近安倍路线,考虑到安倍的“禅让”和其具有外相、党内高层的任职经验,岸田具有一定呼声。  
      緊急事態宣言が終わり、自民党内でポスト安倍をめぐり党内支持を拡大に向けた動きが活発化している。安倍首相はいままで、自身の後継の首相となる、「ポスト安倍に」ついて明言はしていない。ただし、岸田文雄政調会長が安倍路線に近いとされ、安倍氏からの「禅定」が考えられる。岸田氏は外相経験が長く、比較的地味な党職がながいものの安倍の信頼が厚い。
 
      进入6月,自民党内部相继设立了新组织,意图构建新冠病毒结束后的社会,岸田本人也就任“新国际秩序创造战略本部”的本部长。岸田派相关人员解释说新组织的目的是“制定政权公约”,为了迎接下一任总裁选举,此举被认为是为了向外界展示岸田后作为社会领袖的立场。但岸田也面临较大困难,一个鲜明例子是其所推进的向减收家庭发放30万日元补助金计划被推翻,甚至遭到了批评。
      六月にはいり、自民党内ではコロナ終息後の社会を構想する新組織の設立が相次いでいる。岸田氏はその内、「新国際秩序創造戦略本部」の本部長に就任した。岸田派関係者は新組織の目的を「政権公約を作るようなものだ」と解説しているといい、次期総裁選に向け、コロナ後社会のリーダーとしての立場をアピールする狙いがあるとみられている。岸田氏が進めた減収世帯への30万円の給付金を覆され、批判にさらされたことも。
  
      6月上旬,读卖新闻实施的民意调查中,获得“下一任首相候选人”首位支持的是原干事长石破茂。石破向来以和安倍保持着距离著称,并对安倍政权屡次进行严厉的批评。6月以来,石破接近了掌握总裁选举关键的二阶俊博干事长,甚至在6月8日石破派的派对上出席并担任讲师,发表了“希望石破将来可以更进一步”的言论。在新冠病毒对策上没有明显失误的石破通过对安倍政权的批判积累了一定的人气。尽管目前石破党内支持率很低,但也不排除今后其党内支持率扩大的可能性。
      6月上旬、読売新聞がが実施した世論調査で「次の首相候補」でトップの支持を獲得したのが石破茂元幹事長だ。石破氏はもともと安倍氏とは距離を置いており、たびたび厳しい批判をしている。6月以降、石破氏は総裁選の鍵を握るとされる二階俊博幹事長に接近。8日の石破派のパーティーで講師を依頼。二階氏は快諾し、「石破氏は将来さらに高みを目指して進んでいただきたい期待の星」などと持ち上げた。コロナでは目立った失策のない石破氏。安倍氏への批判的な姿勢から、一般からの人気に引き替え党内での支持が薄いとされるが、今後の動きしだいでは党内支持拡大の可能性は十分あるだろう。        


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